Koichi Mitsuoka

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この作品は今年10月につくばで行われた野外パフォーマンスイベント
「HAM2022 わたしより大きなりんかくがみえる」で出展した作品だ。
本展のタイトルにあるこの「りんかく」とは、街中での見えない線引
きの様なものの事だと思っている。近年街ではスケボー禁止や花火禁
止など、できない事がどんどん増えているが、そのOKやOUTの線引き
を、もう一度考え直すきっかけを作る事が今回の目的なのだ。
そこで僕がやろうとしたのが、去年東京の隅田公園でも行ったパフォ
ーマンスで、高所作業車から手書きの言葉を書いた布を、掛け軸を垂
らす様にクルクルと出現させるというものだった。


「通達」2021 / tokyo
これをつくばセンタービルの広場で行おうと考えた。トップダウンの
開発によって近代化したつくば、それに反発する形で設計されたセン
タービル。街の線引きのほつれを探るのには良い場所だと予感したの
だ。書かれる言葉は、開発された当時の事を住民の目線から記録した
本「長ぐつと星空」や、つくばセンタービルを設計した磯崎新氏の言
葉など、この地にまつわる人々から引用したものを書写するつもりだ
った。8月下旬ごろ、そのプランに行政側からストップがかかった。
主な理由は、
1. 垂れ幕と手書きの文字という視覚的な要素が、政治的な活動(デモ活動など)を想起させる
2. 磯崎新の発言をつかうことで、センタービルをめぐる論争を再び炎上させるきっかけになりうる
3. ペデストリアン(つくばを縦断する道路)では高所作業車を使用できない
というものだった。
3に関して言えば、街路樹の剪定で作業車は出入りしているが、イベント
等の必要性が低いものは許可できないらしい。と、文面で言われてもイ
マイチ納得がいかず直接お話を伺いに行ったところ、つくばは何をする
にでも割とすぐにクレームが来てしまい、行政も硬直せざるを得ないと
いった様子だった。
ちょっとはみ出してみる事や、それにつられて何かやってみる、といった
経験を共有する事で街が柔らかく開いていくものだと思っていたのだが、
自分のパフォーマンスは街にとってはノイズでしかなく、とにかく文字を
出す事はできなくなった。許可されなかったのは普通に残念なのだが、思
いもよらぬ形で街の見えない線引きがまじまじと可視化されたのは、自分
にとってとても興味深い出来事だった。
そこで思いついたのが、見えない言葉で応答する事だった。
具体的に言うと、AR技術を用い、センタービルの現地で空中に文字を書き、
仮想空間で可視化するというものだ。そして僕は、どんどん禁止事項が増え
ていくこの場所に「水にふれて冷たいと感じていい。」や「ただただ遠くを
ながめていい。」など、どうでもいい許可をどんどん書き増やしていった。












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